再生医療とインプラントの融合

再生医療による
高いインプラント骨結合の実現

当センターでは、骨が不足した部分への再生治療に力を入れております。特に、「自家骨・自己血液」のトロンビン成分を効果的に活用し、密度の高い骨組織を再生することにより、高いインプラント骨結合率を実現します。

再生医療によって進化するインプラント治療

再生医療とは

「再生医療」という考え方は古くからあり、事故や病気によって失われた身体の細胞、組織、器官の再生させる医療のことをいいます。具体的には、義肢や人工関節、人工血管といった人工材料を用いたもの、一方では皮膚移植や骨髄移植、臓器移植といった生きた細胞を使った細胞移植といったものが再生医療の代表例といえます。

歯科分野においては、歯周病によって失われた骨や歯ぐきを再生する先進医療技術(GTR法、GBR法)などがこれにあたります。

再生医療の可能性

非生体材料の安易な使用は、感染や副作用のリスクが伴います。

自分の細胞・又は自家細胞を再生させる能力のある医科材料を使って、組織や臓器、器官の再生や機能の回復を行うことができれば、早期に確実な治療が実現できます。

「再生医療」は、私たちが本来持っている自己再生能力を最大限に活用し、負担を和らげることのできる無限の可能性を秘めた医療と言えます。そのためには、自己細胞成分(自家骨や血液成分)の使用を第1選択とするべきと考えます。

インプラントにおける再生医療の発展

インプラント治療において焦点となるのは、歯周病や外傷などにより骨が少ない場合、又は元々解剖学的に骨が少ない骨格の場合があります。

かつては、骨量が少ない場所ではインプラントはできないと考えられてきました。インプラントの植立に充分な骨量がある箇所のみにインプラント治療がおこなわれてきました。ところが近年では、インプラント技術の発展とともに失われた骨は積極的に再生されるようになり、かつてはインプラント治療が困難だった場所にも適用されるケースが増えてまいりました。

当センターでのインプラントへの再生医療の活用

当センターでは当初から再生医療の重要性に着目し、自己細胞成分の活用による骨組織の再生に取り組んでおります。歯科分野では、骨の再生には以下のような材料が使用されております。

[1]牛・豚などの骨組織を脱灰乾燥したもの(Bioss など)
[2]人骨を凍結脱灰乾燥したもの(DFDBA)
[3]人工骨(βリン酸三カルシウム など)
[4]自家骨(自分の骨)・自己血液成分

当センターでは骨が不足した部分への再生治療に特に力を入れています。なかでも上記[4]の「自家骨・自己血液」のトロンビン成分を効果的に活用し、密度の高い骨組織を再生することにより、高いインプラント骨結合率を実現します。

骨誘導成分の製作

血液を約40cc採血し、専用の器械にてトロンビン成分(黄色透明液体部分)を抽出します。

β-TCPと血液トロンビン成分を混和します。数十分でゼラチン状となり、骨誘導材となります。

ガラスのシリカ成分と反応させたトロンビンは、強固な繊維状に硬化します。

繊維状の成分は圧縮し、膜状に形成して手術野の閉鎖に使用します。

骨誘導成分の填入

抜歯によって骨組織が大きく欠損しています。このままインプラントを行うと、インプラントの不十分な骨結合、歯肉の退縮などの問題が起こります。

先ほど作製したゼラチン状骨誘導成分を骨欠損部に填入します。骨補填材はある程度生体に吸収されるので、少し多めに填入します。

コラーゲン膜を骨誘導成分全体にカバーし、安定化を図ります。

トロンビン成分により作製した繊維状膜を手術野全体に覆います。これにより、手術野の裂開を防ぎ、治癒・回復を早めます。

骨再生手術は、自己血液の採取を含めて約40分で終了します。